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ほろび
昔の人たちの生活を連想するには、あまりにも
手がかりが少なすぎた。
それでも、あの広い広い草原の中に点在するレンガの城跡を見てると、
人々の知恵と労働と信仰を垣間見た気がした。
1つの王朝が滅びた跡。
今は、穏やかな時間が流れている。
時々吹く風が、気持ちよくて
大木の下にできる木陰に、何時間でもいてたい気分だった。
首がない仏像たちは、
ビルマ軍が精霊の復讐を恐れて仏像の首を全て切り落としたらしい。
人間の欲、それを満たす知恵、戦い、
そんなものが、確かにここに存在していたんだろう。
ほろびとは、人間の欲に塗れた世界が
穏やかなものを取り戻すための手段だったんだのかもしれない。
沈んでいく太陽を見ながら、ほろびについて考えていた。