作品解説とプロフィール
■作品作りの背景
カメラがデジタル化し、誰でも簡単に綺麗な写真が撮れるようになり、デジタルだからこそできることは何かを追いかけてきました。そして写真の歴史から垣間見た、時代と共に移ろう画家の姿にインスピレーションを得て、写真を本来の役割から解放し、色や質感に分けて再構成することを試みました。その結果、何気ない日常を切り取った写真から架空世界を組み上げる「ローレフォト」を考案しました。重力や時間など、あらゆる事柄から解放された、写真の中の自由な世界を楽しんでいます。デジタル時代の今だからこそできる、時間と場所をつなぐことに力を入れ、私たちが肉眼では見ることのできない世界を作品に込めています。
■ローレフォトとは
ローレフォトとは、2006年から始めた被写体の内面を表すために始めた表現技法です。実在の写真だけを再構成し、日常をファンタジーに変える作品です。時間と場所をつなぎ、肉眼では見えない架空世界を描いています。
CGでなく写真だけを使って制作します。撮影した20万枚以上のストックから、約30枚の写真を重ねることで、色や空間を作っています。写真を分解して絵具のように使うことで、モノを本来持つ役割から解放し、色や質感として再構成することができます。ローレフォトという名前は、当初“Role(役割)からの解放”という思いから生まれました。その後、英訳する機会に“Lore=物語”という言葉の存在を知り、私が作品で表現したい世界観に驚くほど重なることに気付きました。役割から解き放たれた先に、風景や時間が持つ“物語(Lore)”を表現する、この偶然の出会いが、私の制作にもうひとつの入口を与えてくれました。仕上げには樹脂による独特の風合いを加え、光の反射による立体感を出すことで、写真でありながら絵画的な奥行きを持つ作品へと仕上げています。
■作品の想いと解説
日常生活をファンタジーに変えたい── 小さいころは、毎日が冒険と発見に満ちていました。 ドアや道、階段は私にとって“もう一つの世界への入口”であり、日常の風景から物語が立ち上がってくる瞬間にワクワクしていました。カメラに出会ってから、 その感覚を思い出しました。日常の中に潜むストーリーや、ひそかに存在するかもしれないパラレルワールドに想いを馳せるようになりました。現在、私は日常のあらゆるものを「もしもの世界」の一員として再構成し、 場所や時間を越えて旅するような作品を作っています。描く風景は架空ですが、使う素材はすべて実在した場所やものです。 階段やドア、分かれ道は人生における選択の象徴でもあり、新しいことに挑戦するときの不安や迷い、そしてその先を見てみたいという冒険心を表しています。私たちは、数千年の人の営みが積み重なった“今”を生きています。 その壮大な時間の流れを思うと、たとえ迷う日があっても、きっと次の扉が開けます。 新しい視点で日常を楽しんでいただけるような作品をお届けしたいと想い、制作しています。
■展開中シリーズ
Uniomystica(2015〜)自由と解放をテーマに、現実を再構成した架空の景色を表現。
空の2階/Lost(2017〜)失われた空や自然を再創造し、もう一つの入口を探すシリーズ。
空の2階+Yggdrasil(2020〜)北欧神話の大樹に着想を得て、自然への畏敬を描く。
空の2階+Emakimono(2020〜)分断された世界をつなぎ、巡る四季と共生を曼荼羅的に表現。
空の2階+ブーケ島(2020〜)街や四季の風景そのものを“贈る花束”として再構成。
VOICE(2022〜)植物の声と生命の広がりをレイヤーで表現したシリーズ。
Barometz(2023〜)伝説の半植物半動物“バロメッツ”から着想した、生物共生の作品。
Fictional plants for Voynich Manuscript(2024〜)ヴォイニッチ手稿に触発された架空植物・動物のシリーズ。
■受賞歴
- 2023 IPA international photography awards(NY)Honorable Mention《Barometz》
- 2022 IPA international photography awards Official Selection《The Birth》
- 2021 IPA international photography awards Honorable Mention《Yggdrasil》
- 2020 IPA international photography awards Honorable Mention(Emakimono、Memory)
- 2019 PX3(パリ)Honorable Mention《The tree town》
WPC 日本代表チーム選出 - 2018 IPA 3rd Prize《Tokyo Renovation》
IPA international photography awards HM《Lost》/WPC 日本代表チーム - 2017 IPA international photography awards(NY)《unio mystica》《rose》《prayer》
- 2016 IPA international photography awards(NY)各部門でHonorable Mention
■プロフィール
2025年
大阪・関西万博「大阪ウィーク」南河内LIVE ART EXPO大阪狭山市「天空の曼荼羅絵図」メインビジュアル担当。京王百貨店、熱川プリンスホテルなど企画展に出展。
2020–2024年
TREE 所属(2020〜現在)。地域連携・企業プロジェクト・VRなど制作。
コニカミノルタ プラネタリウム メインビジュアル制作。ローレフォトがふるさと納税返礼品に採用。東洋アルミ「クロマシャイン®」を用いた作品制作。ドイツ(ハンブルク)のインテリア空間デザイン会社ダーベライトで作品展示販売。Casper John コラボTシャツ制作(ルミネエスト等で販売)。リーガル「ART of Regal」メインビジュアル制作。Kindle 写真集『Healing Pocket』『The Art of Diving into Flowers』出版。SIBERIAN NEWSPAPER コンサート作品コラボ。
舞台『自転車狂奏曲』メインビジュアル制作。カドカワ株式会社 主催「九×9」(慶沢園)出展。
2015–2019年
上京後、伊勢丹やイクスピアリの展示をきっかけに、累計20回目となる個展を東京で開催。Panasonic ルミックスフォトスクール講師。写真集『New Birth Unio Mystica』出版(2017)。大阪・御幣島芸術祭での個展。
2006-2014年
心理学と人事経験を基に、新しいデジタル写真表現「ローレフォト」を考案。2007年の毎日放送出演を機に、産経新聞・NHK『おはよう日本』の特集・読売テレビ等でローレフォトが紹介され、80回以上メディア出演(関西中心)。
2005年トラちゃん写真館所属。写真専門学校に通い、アメリカブルックス写真大学で短期研修修了。
2002年関西学院大学文学部心理学科卒業。Panasonic にて人事職。
1980年大阪出身。東京都杉並区在住。