Room 8

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長くなってしまいました

 作品は私が心から作っているもので、記憶にリンクしています。それを言葉にするのは本当に本当に難しいですが、ここまでコンテンツをご覧になって、ローレフォトのことをもっと知りたいと思ってくださる方は、お読みいただけたら嬉しいです。あくまで作品はみなさまの思い思いにご覧いただけたらと思います。ただ、作品を作る時に私が込めているいくつかのキーワードとその解説をここにリンクします。

■見えないもの

写真にしかできないことという観点から、
肉眼では見えないことを、
作品にしたいと考えています。

月と太陽、
昼間の花火、
都会と自然、
重力からの解放、

それぞれ個別には存在するのに、
共存は難しいです。
でも、写真では叶います。

現実と現実を組合せ、
起こり得ないことを含む架空の世界をローレフォトで作っています。

■記憶

ローレフォトは別々の時間、
別々の場所にあったものを繋いで作ります。

それは私たちの記憶に似ています。
記憶とは、決して正確ではなく、
私たちがそれぞれに拾い集めた
カケラでてきています。

他人の記憶には、
言葉を通じてのみしか触れられません。

自分の記憶とはとぎれとぎれで、
正確には再現不可能にも関わらず、
一部に鮮明に触れることができ、
特定の過去にはアクセスできます。

時間と共に記憶は、
壮大に積み上がり、
しっかりと残るもの、
そぎ落とされるものがあります。
それはシンメトリーではありません。

記憶は私たち個人の今を作っています。
でも、例え自分自身であっても、
その全体像を把握することはできません。

にも拘らずアイデンティティーが作られ、
壊され、失い、
そして覆されることがあっても、
時間と共に、
何度も立ち上がり、
新しい記憶が生まれ、
私たちに強さを与えてくれます。

■色×色

好きな色は何ですか?
昔は自分の中の流行色があり、何年かで変化していました。

でもある時気づきました。
私が好きなのは色そのものではなく、
色と色とが隣り合った時の様子でした。

重要なのは、その色の隣や背景が何色かということでした。

青一色よりも、
オレンジ一色よりも、
青の中にあるオレンジは、
目覚めるように発色するので、
楽しい気持ちになります。

作品を作る時も、
隣り合う色について、いつも考えています。

自然を観察してると、
緑に見える葉っぱも、
ピンクに見える花びらも、
青い空も、
決して単色ではなく、グラデーションになっています。

建物の色もその時当たる太陽の色で変わり、
自然は季節で常に色が変化します。

なぜこの景色に感動したのかを
分解すると、色が原因だったりします。

春には春の色を集める散歩をしたり、
気になる場所の色を集めたり、
街で出会った色を、
重ねたり、組合せることで、作品に取り入れています。

私たちの周りには、
名前のない色も、
名前のない組合せられた色もいっぱいあります。

■空の2F

都会は便利でにぎやかで、
色んなものを簡単に手に入れられますが、
ないものや、失ったものもあります。

都会の真ん中では、
ビルの間から見える夕焼け空はいつも長方形で、
沈んでいく夕日そのものも見ることができません。

カメラの発明初期の写真は、
その地を訪れた人しか
見ることがない貴重な風景や珍しい生き物を、
沢山の人に伝える手段でした。

どこにでも簡単に移動できる時代になった今、
日常から遠く離れた旅先の風景ではなく、
都会が失ってしまったものを、
都会に再現したいと思いました。

日常を集め、組み立て、ひっくり返し、
透明にして、掛け合わせ、切り取り、
これらを繰り返すことで、
実在する場所が、
架空風景に変わっていきます。

地上を一階として、
空に2階を建てたら、
展望台のようにいつでも街を見渡せ、
夕日も夕焼けも、
美味しい空気も味わえます。

帰り道に、
次の角を曲がったら、
そこに広がるかもしれない、
パラレルワールドです。

■植物×建築物

デジタル時代の写真にできることは何だろう?と考えた結果、
現実にはあり得ないことを、
まるで本当に起こっているかのように見せることが、
これからの写真の役割ではないかと思いました。

写真の中の世界には、重力がありません。
植物が建物になる、
植物の中に住む、
これらは現実には不可能ですが、

ローレフォトで叶えてみました。

植物ならではの成長する要素はそのままに、
建物になっています。

柱に自分の身長を刻んでも、
柱も伸びるので意味がなくなりますが、
子供の頃から、自分の成長と共に、
一緒に成長する壁や部屋に、
住んでみたいと思いませんか?

■道草

小さい頃は、登下校は驚きと発見がいっぱいの場所でした。
雑草で遊んだり、
石を集め、
木の皮を剥いで、
花の蜜を吸って、
葉っぱを組み立て、
溝を通って別の場所を探検したり、
知らないものと出会い、
寝るのが勿体ないほど、
毎日驚いたり発見したりして過ごしていました。

でも、いつの間にか色んなことに驚かなくなっていました。

そのことに気づき、思い出したのは、
カメラに出会ったときのことです。

ファインダーを通じて写した世界は、
肉眼で見える世界とはまるで違っていて、

ただの1枚の葉っぱや、
蛇口からただ落ちる水、
食べてる途中のゼリー、
氷入りのコップが落とす影、

こんな日常の普通の風景が、
世界遺産級に美しく見えました。

そして、非日常の新鮮な感覚や驚きを、
旅先でしか感じなくなっていた自分に気づきました。

小さい頃にしていた
道草を思い出しました。

このことを機に、
日々これを写真に写したらどうなるだろう?
という道草を始めることにしました。

家の中でも、近所の散歩でも道草を楽しんでいます。

■ポータブルシティー

現代社会においては、
ウォークマンや、テレビ、扇風機、冷蔵庫など、
何でも持ち歩けるもので溢れています。
でも、かばんの中に持ち歩きたい
便利なものを全部詰め込んだら、
結局重たくてどこへも行けません。

そして、いくつかを諦めた結果、
出先でそれをやっぱり持ってきたらよかったと、
思ってしまうことがあります。

だから街ごと携帯できたら、
いつでもどんなところでも
忘れ物もなく、
どんなときにもフルに対応できます。
そもそも忘れ物をしない社会になります。

そんなことが叶う、
ポータブルシティーを作りました。

■緑化

近年、ヒートアイランド対策で、建物の壁面や屋上の緑化が注目を集め、
またそれだけでなく、視界に入る緑の割合、緑視率がストレス軽減に
役立つことがわかり、職場にも緑を取り入れる企業も増えています。

こうした取り組みは、管理可能な緑化です。
その緑化は企業に任せて、私が作品に取り入れているのは、
実際には実現が難しい、管理不可能な緑化です。

私たちの周りにあるものは、役割で溢れています。
例えばお箸、コップ、道は、
ご飯を食べる、水を飲む、目的地に行く、
などそれぞれに役割があります。

でも、空や自然に生えた木や雑草には役割はありません。

ただ、そこにあります。
雑草は人の意図に反して自由に生えます。

アスファルトの隙間から生えたり、
コンクリートを苔むしたり、
置き捨てられた車内に生えたり、

エンジンがかからない車みたいに、
元々私たちが役割を与えたものであっても、
壊れると役割から自由になります。

建物もモノも、役割を持っていた人工物が緑化すると、
どれも同じではなく個性的な佇まいになります。

まるでそれ自体が生きているみたいな生命力と、
反対に変化し崩れ、朽ちていく儚さや、
流れていた時間が
止まってしまったことに想いを馳せ、作品を作っています。

人工物に緑が侵食しきった場所では、
私たちは実際に生活することができません。
だからこそ、架空世界でのみ、
このもしもを味わっていただけたらと思います。

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